古いブロック塀の撤去は、外構工事のなかでも数少ない「補助が用意されている工事」です。秋田県内では秋田市・大館市・にかほ市の3市に撤去支援の制度が確認できます。ただし、どの塀でも対象になるわけではなく、高さや道路への面し方などの条件が細かく決められています。この記事では、3市の制度の中身と、あわせて確認しておきたい横手市の枠を整理します。
なぜブロック塀だけ別枠で支援されるのか
住宅リフォーム補助の多くが外構を対象外としているなかで、ブロック塀の撤去だけは独立した制度として用意されています。これは工事の目的が住まいの快適性ではなく、倒壊による人身被害を防ぐという安全対策に置かれているためです。
そのため制度の設計も安全対策の論理で組まれています。対象になるのは通学路や道路に面した塀であり、一定以上の高さがあるものに限られます。逆に言えば、敷地の内側にある塀や、道路に面していない塀は、古くても対象にならないことが一般的です。まず自宅の塀が「どこに面していて、どのくらいの高さか」を確認するところから始めてください。
秋田市:通学路に面した塀が対象、募集件数に上限があります
秋田市の危険ブロック塀等除却支援事業は、除却費用の3分の2を補助し、上限は20万円です。県内の同種制度のなかでは補助率・上限とも手厚い部類に入ります。
一方で条件は限定的です。対象となるのは指定された小学校の通学路に面し、道路からの高さが60cm以上のブロック塀等です。フェンスや門柱の除却は対象外とされています。ご自宅の前の道が指定通学路に該当するかどうかは、市の公式ページで確認する必要があります。
手続き面では、交付決定後に契約することが条件です。先に業者と契約してしまうと対象になりません。また令和8年度は募集件数が10件の先着制で、2026年8月上旬時点で残りが少ない状況でした。検討されている場合は、募集状況の確認を先に行うことをおすすめします。
大館市:個人・町内会と法人で補助率が分かれます
大館市の危険ブロック塀等撤去支援事業は、申請者の区分によって条件が変わります。個人および町内会は撤去費用の2分の1で上限10万円、法人は3分の1で上限8万円です。
対象は道路等に面し、道路等から高さ1.0m以上(敷地地盤面からは0.6m以上)のもので、点検表の項目に1つ以上不適合があるものとされています。点検表というのは、ひび割れや傾き、控え壁の有無などをチェックする様式で、これに引っかかる状態の塀が「危険」と扱われる仕組みです。
実務上ありがたいのは、門柱を一体で撤去する場合も対象に含まれる点です。塀と門柱が構造的につながっているケースは多く、これが分離されないのは計画を立てるうえで扱いやすい設計といえます。
注意点は2つあります。交付決定前に着手したものは対象外であること、そして市内の解体業者との契約が要件になっていることです。令和8年度は2026年4月1日から受付が始まり、実績報告の期限は2027年3月15日までとされています。
にかほ市:事前相談が必須の設計です
にかほ市のブロック塀撤去補助は、撤去費用の2分の1、または見付面積1平方メートルあたり4,000円のいずれか少ない額を補助するもので、上限は10万円です。見付面積というのは、塀を正面から見たときの面積のことです。
対象は道路に面し、道路面から高さ1mを超えるもので、かつ実地調査で危険と判定されたものに限られます。この判定が入るため、申し込み前に対象になるかどうかの事前相談を行う必要があります。所管は総務部防災課で、建設や住宅の担当課ではない点に注意してください。
令和8年6月1日から受付が始まり、申請が上限に達し次第終了となります。年度当初ではなく6月開始である点も、他市と異なります。
横手市:雪対策の枠でも塀の撤去が拾えます
ブロック塀専用の制度ではありませんが、横手市の雪国よこて安全安心住宅普及促進事業は、対象工事のなかに住宅敷地内のブロック塀等の撤去を含んでいます。玄関前や屋根の消雪・融雪設備の設置、屋根の落雪化・無落雪化と並ぶ位置づけです。
補助額は工事内容ごとの補助単価で算定され、契約金額の15%または20万円のいずれか小さい額が上限となります。市内に事業所を有する事業者との契約に限られます。令和8年度は申請受付が2026年4月15日から12月11日まで、完了報告は2027年2月26日までとされています。
横手市にお住まいで塀の撤去を検討されている場合は、この枠で相談してみる価値があります。
制度が確認できなかった自治体について
県内すべての市町村にブロック塀の撤去補助があるわけではありません。大仙市・由利本荘市・能代市・男鹿市・北秋田市は、公式サイトを確認した限り点検の呼びかけや診断カルテの配布にとどまり、撤去費用を補助する制度は確認できませんでした。大仙市は例規集の該当分類を全件確認したうえで該当する要綱がないことを確認しています。小坂町にはかつて撤去支援事業のページがありましたが、現在は参照できず、現行の補助事業一覧にも掲載がありません。
また、湯沢市・仙北市・鹿角市・潟上市については、公式サイトの情報から制度の有無を判断できませんでした。制度がないと断定できる状態ではありませんので、これらの市町にお住まいの場合は建設課や都市計画の担当課に直接お尋ねいただくのが確実です。
申請の順序と、情報の確認について
3市に共通するのは、必ず着工前に申請し、交付決定を受けてから契約・着手するという点です。塀の撤去は工期が短く、業者に頼めばすぐ着手できてしまう工事だけに、順序を誤って対象外になる例が起きやすいところです。見積もりの取得と申請の準備を並行して進め、決定通知を待ってから契約してください。
補助率・上限額・対象となる高さの基準・受付期間は年度ごとに見直されます。募集件数に上限がある制度では、年度途中で受付が終わることもあります。実際に申請される際は、お住まいの市町村の公式ページで最新の要件と募集状況をご確認のうえ、判断に迷う場合は担当課へ事前にご相談ください。